海岸に打ち寄せる波の形を流体力学的に解くことは、強い非線形性が働いているために非常に困難です。そこで、科学的正確さを欠くけれども、簡単化した仮定の上に、その形をシミュレートしてみました。 沖の海面の波が正弦波であるとして、その波が海岸に近付くときに、浅くなる海底との摩擦の影響や返す波との相互作用などによって、波の高さの位置 y によって波の位相速度が変わってくるために波頭が現れて、やがて、重力で波頭が崩れます。このときの高さの位置 y に対する位相速度の相対的な"ずれ"を、以下の2通りの方法で仮定して、打ち寄せる波のシミュレーションを行うものです。この仮定そのものが観念的に設けたものなので、直にいえば非科学的です。が、視覚的に面白いので載せました。 沖から海岸に向かうにつれて、上記摩擦などの影響で、位相速度が減じます。すなわち、波長が短くなります。位相速度に乗った系で、位相角に対する波形を表示しますので、その波長の変化は陽に現れないことに注意してください。
また、重力による波頭の崩れを無視しています。
1. 方法1
波の高さの位置 y に対する位相速度の相対的な"ずれ"が y に比例し、その大きさが時間的にも一定であると仮定します。この仮定の下に、波数で規格化した時刻 t に対する波形を表す方程式は次式のようになります。
,
(1)
ただし、x は波の位相角を表し、c は摩擦などが位相速度の"ずれ"にどの程度の影響を及ぼすかの程度を示します。
c=1 として、(1)式を各時刻 t (図中では time )毎に計算して図示しますと次のようになります。
しかし、すぐ分かるように、実際に海岸に打ち寄せる波の形に似ていません。
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